特集 世界のなかの綜合保健
海外事情
イギリスの綜合保健—その考え方と実情
西尾 雅七
1
1京都大学
pp.70-74
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202989
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はじめに
綜合保健という言葉は活動とかサービスといった言葉と結びついてはじめて社会的な存在となりうるものであり,したがって具体的な理解が可能となるものと思う。英国における綜合保健という題を与えられたが筆者はこれを英国における綜合保健サービスの現状と解して記すことにする。
ここで英国というのはイングランド・ウエールスを意味することにするが,英国においては1946年公布となり,1948年7月5日施行されたNational Health Service Act(N. H. S. A.)の中にcomprehensive health serviceという言葉がでてくる。すなわち同法第1条第1項は「イングランド・ウエールスにおいて,その人民の身体ならびに精神的健康と疾病の予防,診断および治療の改善を確保すべく計画された総括保健サービスの設立を推進し,またその目的のために,この法の以下に続く条文にしたがってサービスの効果的な提供を準備し,あるいは確保することを衛生大臣の義務とす」となっていて,綜合保健サービスの目標が示され,そのサービスは,この法の各条文によって成立っていることが明らかにされている。
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