特集 綜合保健活動の推進
地域活動
高血圧対策としての農休日制実施にいたる経験
松井 清夫
1
,
坂本 弘
1
,
山本 冨美子
2
,
森川 節子
2
1三重県立大学医学部衛生学教室
2久居町役場
pp.45-48
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202979
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はじめに
わが国,死因別死亡の主位を中枢血管系障害が占めるようになり,その基礎疾患としての高血圧症が公衆衛生上重視されるようになってから,かなりの年月がすぎた。その間,高血圧症の地域差,ふるい分け検査などの検討がなされる一方,発生要因についての検索もなされてきた。すなわち,佐々木1)は,各種人口集団を対象に,血圧値の分布を観察し,血圧の変化は連続的であって,血圧値の調上から,正常血圧者と高血圧者を区別することはできず,従って,高血圧症というより,高血圧状態として理解すべきことを示唆している。また,Claude Bernardの人間の内部環境の恒常性の概念にふれ,人間の生命に必須な物質,またはその機能としてあらわれるものには,たえずその恒常性が持たれるように運命づけられているのがわれわれの姿であろうとし,それを支配している要因は多種多様であり,人類として一つの山に分布し,それが各種人口集団によって,それぞれのもつ要因によって,その分布に相異調ができてくるにすぎないとの見解をのべている。このような意味にたって,高血圧状態発生要因についての知見をながめてみると,気温なかでも寒冷環境の長期間の繰返しの関与が問題となろう。2)〜5)
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