特集 住民の保健をいかに進めるか—第5回社会医学研究会・主題報告と総括討論
主題報告
6.子どもを小児マヒから守る運動をめぐつて
久保 全雄
1
1新日本医師協会
pp.634-637
発行日 1964年11月15日
Published Date 1964/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202930
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はじめに
昭和27年,小児マヒが世界的に大流行したとき,諸外国では,それぞれ予防対策のための研究と予防ワクチンの開発にとりくみだした。
わが国においても,昭和30年以来,ポリオ患者の発生が増加していたが,医学者からも,行政当局からも,積極的な対策はだされてなかった。政府は産業構造の重化学工業化,即ち独占資本優先の設備投資,技術革新の政策を進めていったが,ソークワクチンの製造は,設備投資の割に,利潤率が少いため,33年にポリオの対策はソークワクチンの輸入で賄うことに決定し,その検定のために1ロットの設備をつくったにすぎなかった。
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