人体計測/事例
消化器集団検診における身長,体重の価値—とくに胃ガン患者の体格を中心として
辻 達彦
1
,
塚田 穰
1
,
七条 小次郎
2
,
中村 篤
2
,
大木 一郎
2
,
佐久間 宏
2
,
飯塚 春太郎
2
,
薗部 光男
2
,
関口 利和
2
,
斎藤 昭三
3
1群馬大学医学部公衆衛生
2群馬大学医学部第一内科
3群馬大学医学部放射線科
pp.565-570
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202910
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群馬県下数十地区の住民,男6493名,女9,488名 計,15,981名にっいて群馬方式による消化器検診をおこない,これら被検者をさらに体重増減率からみた体格より分類し,胃ガン32名,胃潰瘍63名,十二指腸潰瘍106名などとの関連を検索し,この種の検診における身体計測の意義を評価しようとした。すなわち体格別にみたこれら胃疾患の発見数と,休格とは無関係として統計的にもとめた期待数との比よりみると,十二指腸潰瘍と体格との関係はみられず,いかなる体格からも同程度の値を示した。胃潰瘍の場合には概してやややせ型にその発現が高く,胃ガンでは七条反応中間型および陽性型群に属するやせ型にその発現が集中の傾向が強い。とくに男では休重増減率+10%り上の比較的肥満群からのガン発現はみられないのが特異で,一方,女では11名の胃ガン中3名は肥満群に属するものであるのが対照的であった。
以上の所見からこの程度の身体計測は,集検法としての群馬方式を活用するうえで,たとえば七条反応陽性群中のやせ型のものを重点的に狙うことにより,スクリーニングの精度をたかめるのに有効であると考えられる。さらに今後はこれまで第二次検診にふくめなかった一見健康者群も体格の面で取捨する必要性を示唆している。
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