地域活動の中から 保健所と大学をむすぶ新しいきづな
健康管理を支える二本柱—金沢大学の試み
重松 逸造
1
1金沢大学公衆衛生学
pp.548-549
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202900
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1家庭および地域の健康管理について
家庭と地域がわれわれの生活の本拠になっていることはいうまでもないが,健康管理という点では,たとえば主人は会社で,主婦は保健所で,子供は学校でといった具合にばらばらに管理をうけていて,現状では家庭や地域という同じ生活基盤の上に立った管理はほとんど行われていないといっても過言ではない。これはわが国で健康管理といえば,従来より事業所,学校といった接近しやすい集団を中心に行われてきたことによるものと考えられるが,同時に家庭や地域に対する健康管理組織が確立されていないことにも起因している。
ここで,この問題を詳しく論ずる余裕はないが,結論だけをいうと家庭単位の健康管理には家庭医制度を,地域単位の健康管理には地域保健委員会制度を確立すべきであり,その実施責任は,家庭の場合は世帯主,地域(地方自治体)の場合はその首長が負うのが当然である。この場合,保健所は地域保健委員会の一員として,保健に関する情報の収集と提供,技術的援助などを担当することになろうが,同時に家庭および地域健康管理を推進するためのマネージャー的役割も重要視されねばなるまい。このような考え方に対しては種々の異論もあろうが,ともかく実践の結果を通じて批判を仰ぐべきであると考え,現在保健所と協力して実験を進めている。
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