「公衆衛生」書評
未熟児家庭訪問指導のかんどころ(2)
青木 康子
1
1日本赤十字社本部産院保健指導室
pp.489
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202877
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Ⅲ.家庭の雰囲気にとけこもう
家庭のリーダーの信頼を得る 家庭のリーダーとは,世帯主あるいは家長という意味ではない。明るい家庭,にぎやかな家庭,なんとなく固くるしい家庭など家庭にもいろいろあるが,その雰囲気をつくりあげている中心人物,それがリーダーである。世帯主が社長であろうと,家庭では奥さんというリーダーに動かされていることもある。
将を射んと欲すれば馬を射よのたとえのとおり,未熟児指導を行うときも,その家庭のリーダーを早くみつけ,調子を合せてゆくことは,指導効果をあげる最短距離のように思われる。たとえば迷信を信じ昔風な育児の方法を最良としている祖母であっても,その人がリーダーである場合は,その祖母と親しくして指導したほうが,祖母を無視して母親に指導するよりは効果的である。リーダーと親しくすることによって,その信頼を得さえすれば,リーダーの考え方を是正することは,比較的困難でなくなるばかりでなく,未熟児を包むその家庭の雰囲気をも変えられないでもない。
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