特集 清掃事業の現状と将来
保健所における健康相談業務の合理化について
高橋 啓子
1
,
藤咲 暹
2
,
大庭 英子
2
,
高橋 よろず
2
,
赤間 ミツ
2
,
伊藤 治子
2
1仙台市南保健所
2仙台市東保健所
pp.260-266
発行日 1964年5月15日
Published Date 1964/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202823
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Ⅰ.はじめに
歴史的にみれば,保健所は当時の衛生行政機構に欠けていた指導面を強化するために,純然たる保健指導機関として発足したので,当初の保健所業務の中核は家庭訪問指導と健康相談活動とであった。その後保健所には衛生行政上の責任が課せられ,各種の業務が漸次加わったが,健康相談は殆んどその形態を変えることなく現在に至っている。近年保健所における健康相談業務について特に多く論議されるようになったが,その理由の第1は保健所に課せられる業務が年々増加してきたこと,第2は保健所の職員殊に保健婦が健康相談業務に時間を拘束され,より重要と考えられる他の業務に十分な時間をとれないこと,第3は特に都市保健所においては健康相談利用者が著しく増加し,一定時間の範囲では質的に良い指導ができないことなどであると考えられる。
要するに保健所設置以来本質的な変化を要求されなかった健康相談業務が,近年に至り他の業務との均衡上,大きく変化しなければならなくなったのに,保健所の基本的な業務形態であるということから,従来の方式のままに放置された結果,利用者の偏りが目立ち,業務の効率が低いことが自覚されて,反省の論議がおこったわけであろう。
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