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宮城県の40歳以上の一般住民における,集団検診時の正常血圧者と高血圧者の眼底ならびに心電図有所見頻度を比較検討した。正常血圧者にもK. W. Ⅱa群以上の網膜動脈硬化者が9.1%いることおよび脳卒中者の約10%が正常血圧者値をしめしたごとく,高血圧者だけの循環器疾患対策では不十分である。
1.最大血圧者別にみた高血圧者1593名中のK. W. Ⅱa群は41.0%,K. W. ⅡbおよびIII群は7.8%であるが,最大血圧150mmHg未満で最小血圧90mmHg未満の正常血圧者561名中,K. W. Ⅱa群は7.7%,K. W. Ⅱb群は1.4%である。
2.正常血圧者において最大血圧140mmHg未満ではK. W. Ⅱa群5.7%,K. W. Ⅱb群O.8%であり,140mmHg台ではそれぞれ12.0%,2.4%である。これらは年令とともに高率となる。
3.今までに集団検診をうけた脳卒中生存者80名中11.3%が集検時正常血圧値を示した。また正常血圧者,高血圧者ともにK. W. Ⅱa群以上の者が脳卒中者の約80%であった。心電図上心筋傷害を認めた者は脳卒中者の35.0%である。
4.正常血圧者において最小血圧80mmHg未満のK. W. Ⅱa群は4.2%,K. W. Ⅱb群は0.4%であり,80mmHg台のK. W. Ⅱa群は10.3%,K. W. Ⅱb群は2.2%である。
5.高血圧者1881名中の心電図有所見者率は34.2%,心筋傷害は19.3%,心筋梗塞は0.3%,心房細動は1.7%であるが,正常血圧者1032名中の心電図有所見者率は13.2%,心筋傷害は3.1%,心筋梗塞はO.2%,心房細動は1.0%である。
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