資料
小都市の衛生費—愛知県守山市の事例研究
小栗 史郎
1
1名古屋市守山保健所
pp.221-224
発行日 1964年4月15日
Published Date 1964/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202817
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名古屋市北東部に隣接する小都市の衛生費を,36,7年の時点で比較考察した、資料はほとんど両市の予算書に依存しているため,その言及する範囲は狭く,両市の特殊事情は一般化を困難にしている。しかしながらこの小論でみた特違な2現象にふれて,要約と考察に代えてみたい。
清掃問題はとくに大都市に隣接する小都市行財政のきわめて重要な環である。春日井市は起債をテコにして,また市民へのシワヨセを増して,解決に努め,比較的貧困な守山市は,この問題でゆれて合併へと傾いた。また春日井市のように清掃費は他の保健衛生費を圧縮する。それゆえこの解決への努力がなければ,市町村および市町村民を基盤とする保健所行政の運営は空転することになるであろう。
市民病院の経営は,この小論では明瞭に指摘していないが,一般会計からの助成は緊急の事態である。全国自治体病院協議会が「自治体病院財政の改善に関する意見」6)を出したのは,この危機事態の深刻さを示すものである。もっともこの「意見」の強調する他の一面,すなわち39年から適用される地方公営企業法に具体化した合理化には直ちに賛成できない7)。しかし「意見」の指摘どおり,公立病院は保健衛生行政の一翼であり,共同保健計画の重要な一環である。
以上の2点は,公害,国保民生の諸問題とともに小都市の保健衛生を管理する保健所活動の弱点でなかろうか,と附記してこの事例研究を終える。諸学兄の批判を切望する。
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