特集 社会医学(第4回社会医学研究会講演)
一般演題
未熟児,早産児の出生に及ぼす社会環境的要因の影響について
藤本 暁
1
1京都大学公衆衛生学教室
pp.553-558
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202730
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これまでの諸君の報告によっても明らかな如く,未熟児はその乳児期のみならずその後の発育段階を通して種々の不利益を背負うものであり,従って大切なことは,これの養育よりもこれの出生予防にあることは言うまでもないが,未熟児出生に関する諸要因のうち医学的要因は比較的詳しく研究され,或る程度それに対する予防策もとられてきているのに対し,社会環境的要因に就いては今なお明らかでない点が多い。この点に注目して私は昭和33年6月より37年5月迄の間,国立京都病院で分娩した1052例の妊産婦を対象に,大凡表1の如き項目について,非妊時,妊娠前期,中期,後期にわたり私が個々に面接調査を行い,明らかに医学的要因の認められる場合を除外して,未熟児,早産児出生に対する社会環境的要因の追究を行った。
さて,広義の未熟児には狭義の未熟児と早産児とが含まれ(他に虚弱児もあるがこれは除外した)前者は生下時体重に,後者は在胎週数に基づく分類である。この早産児の中には,早産をせず満期迄妊娠を継続したとしてもなお2,500gを越えないと考えられる児と,満期迄子宮内発育を遂げたならば2,500gを越えると考えられる児,及び早期分娩時既に2,501g以上ある児との3群があり,これらを一括して未熟児として扱ったのでは未熟児及び早産児の出生原因を詳しく探究し得ない。
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