特集 社会医学(第4回社会医学研究会講演)
一般演題
地域開発に伴う社会医学的諸問題の背景
橋本 周三
1
1和歌山県岩出保健所
pp.544-545
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202727
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今日の地域開発は,地方的な色彩よりも,国から与えられた国家的な政策のにおいの方が強い。というのは,一般的にみて,地方自治という現実は,多かれ少なかれ地方の独自性というものより,法にもとづく国家的な事務におわれ,地方財政からみても,国或は都道府県の財政的援助のある事業の消化に精一杯で,地方住民の欲求とかなりちがったものであることもある。地方開発は地方自治と結びつくべきものであると思うが,これらの問題にふれるのが本旨でなく,地方開発にともなう社会医学的な問題の背景を現行政法を中心に農村の低開発地域の実態をみてゆきたい。
地域開発の姿は,これまでにもそれなりにその地方にある産業の助成,或は観光都市としての進展といった形で地方独自の力で進められてきた。しかしこれら事業に対して,これまで国は積極的な援助を与えてこなかったところが,現今の地域開発ムードは,低開発地域工業開発促進法,或は新産業都市建設促進法といった形で発展し,その中心は,工場誘致という一点に集約されそうである。
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