綜説
アメリカ合衆国における公衆衛生サービスの組織機構につて—Organization of Community Health Servicesの概念を中心として
中沢 幸一
1
1厚生省公衆衛生局結核予防課
pp.427-433
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202699
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I.はじめに
最近わが国でも公衆衛生は大きな転期にさしかかっていると考えられ,保健所の両編成,保健所業務の再検討,地域社会における保健衛生組織の育成,地域共同保健計画の推進等多くの問題が論議されている。
私は昭和36年8月から昭和37年8月まで丁度1年間,アメリカ合衆国ミシガン大学公衆衛生学部公衆衛生学科に留学する機会をもつことができた。そこでMPH(Master of Public Health)course in public health administrationの課程に在学し,主として公衆衛生行政を中心とした科目を専攻してきた。勿論アメリカとわが国を比較した場合,人口の大きさ,人種の複雑性,地域の広さ,社会的・経済的な地盤等種々の大きな相違があるのは当然だと思われる。しかし公衆衛生においては,その組織機構の問題,責任体制の問題,各種社会資源の問題等わが国において現在並びに将来に渉って考えられねばならぬ面について,参考になることが多いと考えられる。浅学非才の私のこと故,精細にわたることはできないのであるが,ミシガン大学においての講義を中心にして主としてアメリカにおける公衆衛生の組織機構(Orgamization of Community Health Services)について述べてみたいと思うのである。
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