綜説
農村衛生の改善をどう進めるか—農村に於る生活水準(特に健康を中心とした)の改善に関する研究
曾田 長宗
1
1国立公衆衛生院
pp.293-301
発行日 1963年6月15日
Published Date 1963/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202671
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A.この研究が取り上げられるに至つたいきさつ
1.国民生活の不均衡問題
わが国民の生活は,ようやく戦後の混乱から抜け出して,国民所得その他の経済的指標も,戦前の状態に恢復し,経済企画庁は昭和31年の白書で「もう戦後ではない」と声高らかに叫び,その後もおおむね順調な伸展を見せているが,これはわが国全体として平均的に見た結果であり,社会層別に見れば,1,000万人におよぶ生活保護基準すれすれの生活困窮人口があり,地域間の格差も大きく拡がっている。
若し,これを放置して,ただ一部国民の繁栄のみに目をくらまされていては,経済的発展の途を進みながらも,国民間の生活格差を増大し,社会不安さえ生ずる恐れがある。
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