綜説
企業における精神健康管理—その現状と方法
村松 常雄
1
,
横山 定雄
2
1名古屋大学精神科
2国立精神衛生研究所社会部
pp.249-257
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202665
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はじめに
さいきん,企業や職場において,精神障害者や事故頻発者の取扱いとともに,神経症や心身相関症や慢性の内科的神経性疾患等を訴える従業員の処置に手をやくようになってきたことから,精神衛生ないし精神健康管理の必要性が企業内の関係者(経営管理者・現場監督者・労務人事担当者・衛生管理者・工場医など)から,強く主張されるようになってきた。
だが,産業(あるいは企業における)精神健康管理のあり方やその体系は,今日においても必ずしも明らかにはなっていない。欧米においては,第二次大戦前から一応の進展があり,戦後英国ではロンドン郊外にできたRoffey Park Mental Health Rehabilitation Center1)の国際的活躍や,米国のメーシー百貨店やホーソリン工場(Western Electric Co. Ltd.)2)やミシガン大学での産業精神衛生セミナー3)(1951年)などの業績はあるとしても,わが国としてはごくさいきんの動きであることはいうまでもない。
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