綜説
保健福祉の行政機構と住民の欲求—地域社会の構造と厚生行政の効果に関する研究序説
木田 徹郎
1
1日本社会事業大学福祉学部
pp.242-248
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202664
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I.考え方の枠組
現在わが国の住民は,それぞれの生活のあらゆる側面について,強い現状不満,したがってニーヅ(各種の要求)の解決を求め,同時に社会制度の側においてはその充足を目的とする社会福祉および社会保健・公衆衛生の向上増進が推進されつつあることは疑いのない事実である,しかし一括して「住民」といっても,それは階層別,年令別,性別および大都市,農村等々の地域ごとに非常な相違があって,一部の要求充足が他の部分に反対の結果を及ぼすことさえあるのだから,保健福祉に関する諸行政を,より目的的に機能するように効果を測定する仕事は,実は極めて困難で複雑なことだといわねばならない。だがここで現在おこなわれつつある数多くの指導および制度改善に関する,直接・間接の諸活動のオリエンテーションの方向を,仮に極めて素朴に分類するとすれば,つぎの二つになるであろう。
(1)個人の社会生活ないし行動における日常酌要求に対する(例えば医療のごとき)専門的援助および(家計上の,家庭内人間関係上の,またはパースナリテイおよびシチユエーシヨナルな,総括して)社会福祉的な指導。
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