綜説
公衆衛生に従事する医師に対する教育訓練等の諸類型について
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政部
pp.236-241
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202663
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I.はじめに
近代公衆衛生における医師の活動は,England & WalesのM. O. H.(Medical Officer of Health)にその典型がみられるように,その歴史は近代公衆衛生とともに始まり,その変せんと表裏をなしているといえる。すなわち,近代公衆衛生の発展は,国によってその時期に若干のずれはあるが,概括的にいって欧米諸国の場合には,①衛生土木工事および急性伝染病対策の時代(19世紀後半より20世紀初頭),②母子衛生および慢性伝染病対策の時代(20世紀初頭より第2次大戦),③非伝染性慢性疾患対策及び精神衛生の時代(第2次大戦後)の3段階が区別される。これはまた観点をかえれば,①Environmental Healthの時代(19世紀後半より20世紀初頭),②Personal Healthの時代(20世紀初頭より第2次大戦),③Comprehensive Healthの時代(第2次大戦後)の3段階に対応するものである。
日本の場合についてみても,衛生行政ないしは公衆衛生における医師の活動は,明治初年近代衛生行政の発足とともに始まり,今日の保健所活動等にみられる活動の段階に至るまで相当に古い歴史を有することは周知のとおりである。
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