綜説
地区診断における条件分析の論理と実用化—小林批判への再批判
柏熊 岬二
1
1大正大学
pp.76-82
発行日 1963年2月15日
Published Date 1963/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202629
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I.はじめに
本誌第26巻第7号(昭和37年7月)に小林治一郎氏が「地区診断における条件分析の論理と定式化」と題する論文を執筆され,私の地区診断理論を批判している。その主な論点は次のようなものである。すなわち,地区診断の根本方法は条件分析であるという前提の上に立って,①条件分析の構成,②変数のとらえ方,③サイクル形成,④調査の諸段階のいずれについても弁証法的論理学ときわめて類似しており,場合によってはよりすぐれていると主張し,特に矛盾の概念を重視して地区診断への導入を図り,その定式化を試みている。
私は実はこの論文を拝見するまで「矛盾論」も「実践論」も全然読んでいなかった。そこで早速毛沢東の諸著作を入手しうる限りにおいてすべて読了1)し,他の資料2)とも相俟って新中国の理論的拠りどころや戦術論などを研究してみた。このような機会のきっかけを与えて下さった小林氏には大いに感謝しなければならない。
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