総説
社会医学の概念についての討議記録
大谷 藤郎
1
1厚生省統計調査部衛生統計課
pp.529-531
発行日 1962年9月15日
Published Date 1962/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202569
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社会医学をどのように規定するか,あるいは社会医学をどのように理解するか,現状は人によってさまざまで上あるが,この際諸家による混乱した概念を整理しておくことは,歴史的にみて必要である。そういった意味あいをもって1962年7月京都で開催される予定の社会医学研究会において,「社会医学をどう理解するか」のシムポジウムを開くことが,昨年の第2回社会医学研究会において定められた。そこでこのシムポジウムにそなえて,東京において研究をすすめることになり,約十数回にわたって研究討議が行なわれた。この討議をつうじて,社会医学の理解は形式上表現上においては,各人により想像以上に多様で,不一致であることが認められたとともに,しかし一方では健康に関連する相互作用の因子としての社会的諸条件を重要視する点においては,参加者の間で基本的に意見の一致が認められた。また,固有の学として,例えば集団の健康を社会科学の方法でとり扱う学として体系づけられるものであるのかどうかについては,なお意見が一致しないままで終った。
以下の討議記録のうち,曽田長宗・小宮義隆・原島進・黒子武道・籾山政子の意見は別に社会医学研究会記録に掲載される予定になっており,この討議記録においては特に簡単に述べてあるので,その分については研究会記録の当該記述とあわせて読まれたい。
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