原著
北陸地方の肺吸虫症分布状況の調査—その集団検査法の検討
横川 宗雄
1
,
辻 守康
1
,
大倉 俊彦
1
,
吉村 裕之
1
,
佐野 基人
1
,
Suvajra Vajrasthira
2
,
莇 昭三
3
,
石田 宗治
4
1千葉大,医動物
2泰国
3金沢大,公衆衛生
4石川,羽咋保健所
pp.463-469
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202433
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まえがき
北陸地方の肺吸虫症に関する報告は少なく,古くは黒柳(1892)が石川県で,上原(1894)が富山県砺波に於て,又渡辺(1903)が石川県浦上に於ての各1例宛があり*,又近くは1958年に石川県七尾在住の10歳男子が皮膚肺吸虫症の疑いにより東京で腫瘍切開を行なつたことを聞くのみである。
しかるに最近スクリーニングテストとしての肺吸虫症皮内反応の実用価値が認められ,今迄流行のみられなかつた多くの地方から肺吸虫症患者が多数見出されていることは周知の事実であり,われわれも又北陸地方に隠れたる流行地があるのではないかという考えのもとに以下のごとき方法により前後3回にわたつて調査を行なつた。即ち,皮内反応を用いてまずスクリーニングテストを行ない,本反応疑陽性・陽性者についてはさらに補体結合反応及び虫卵検査を実施した結果は,新たに流行地と思われる地域を見出したのでその結果を報告する。
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