講座
肺吸虫症—肺吸虫症と肺結核との混同を中心として
横川 宗雄
1
1千葉大学
pp.14-17
発行日 1958年10月10日
Published Date 1958/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201735
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はじめに
肺吸虫症(肺ヂストマ症)は主として,日本,朝鮮,台湾,支那,フイリツピン等に広く風土病的にみられますが,その原因はウエステルマン肺吸虫と言う寄生虫です.本症は以前には寄生虫性喀血症,あるいは地方病性喀血症とも言われ,肺結核と酷似した症状を呈するのが特徴とされていました.然しその経過は極めて長く然かも血痰や喀血のあるわりには,それ程体の衰弱を来すことが少いためか,流行地の一般住民は勿論,臨床医家の間でも余り本症に対して関心は,はらわれていなかつたようであります.ところが,本症に関する調査研究がすすむにつれて,次第に本症の直接,間接に及ぼす影響の重大さが認識されて来つつあるようです.そこで以下に少しく説明したいと思います.
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