総説
栄養学の認識についての考察
佐伯 镹
1
1東京慈恵会医科大学生理学教室
pp.157-165
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202386
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栄養学は,独立した国立の研究機関が1920年,始めて創設されて以来40年註1,また独立した学会として1934年公認発足して以来25年註2を経て,今日では,学者間にその学的水準の高さがあまねく認められ,また世の人々の間にこの社会実生活への実益が信用を博している。
栄養学のまとまつた書物としては,栄養学会公認以前(米国では1940年以前)のものには,G. Lusk1)のThe Elements of the Science of Nutrition(1906)や,R. H. Chittenden2)のThe Nutrition of Man(1907),H. C. Sherman3)のChemistry of Foodand Nutrition(1911),またL. B. Mendel4)のNutrition(1923)等の好著がある。この他同じ時代にE. V. McCollum5)のTheNewer Knowledge of Nutrition(1918)も現われたが,これは栄養学全般を系統的に取り扱つたものというには稍偏つたものの様に思える。また本邦の様に他の文明諸国より一歩先んじてこの学の独立が実現整備された国では,その独立後の科学的成果の上に立つて,整然とした体系をもつて書かれたものが出現したわけで,佐伯矩の栄養6)(1926)は本学認識のために不可欠な著書の一つであろう。
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