特集 公衆衛生学会を顧みて
公衆衛生学会印象記
—第7分科会—成人衛生・老人衛生
辻 達彦
1
1群馬大学医学部公衆衛生
pp.23-24
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202363
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本年度の出題数は59で昨年度(61),一昨年度(70)に比較すると少ないが,分科会のテーマが次第に整理され,安定したような感じをうける。演題は高血圧,心疾患関係のものが全体の約1/2(33題)を占め,ガン関係は15題のみである。その他リウマチ熱3(内誌上発表,欠席各1),糖尿病に関するもの2題等に分れていた。以上は一応の色分けであるが,成人衛生全体についての疫学的報告が3題あつた
私の印象としては全般的に余り強烈な印象をうけたものがなかつた。これは公衆衛生学会における成人衛生・老人衛生の取扱いがいかにあるべきかという最も基礎的な論議がなく,技術的末梢にとらわれすぎるという点があつたからと思う。要するに臨床部門に入りすぎた意見の交換は大多数の公衛関係者には無縁に近く,ついていけないからである。従つて本学会の成人衛生・老人衛生の今後のあり方に転機がきたとの感じを強くした次第である。
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