特集 公衆衛生学会を顧みて
公衆衛生学会印象記
—第5分科会—疫学・伝染病など
有賀 徹
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1日本大学医学部公衆衛生学教室
pp.20-21
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202361
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公衆衛生学会が分科会形式をとるようになつたのは第9回総会からであつたが,従来は疫学というのが一つの分科会の名称であつた。しかるに本年度は第5分科会として特に疫学という言葉を用いず「病原微生物伝染病など」という名称を用いた。近年疫学という言葉の概念が大分広範囲に用いられるようになつてきたため従来の伝染病中心とした疫学という意味での疫学分科会を設けるより,今回のごとき名称にした方が混乱を防げるかもしれない。しかしまたこれも多くの欠点が見られるのである。例えば分科会の内容もほぼ従来の疫学関係が多かつたが,なかには明らかに行政的のものもあつたり,また好塩細菌のごとくむしろ食品衛生分科会の方に回した方が妥当と思われるものもあつた。ともかく公衆衛生という広範囲の学会においてはそのプログラムの編成には一番頭を悩まされるのであつてこの分科会形式も再検討する必要があると思う。
さて本年度の公衆衛生学会の特徴としては何があるかということを考えるとそれは演題内容を検討してみればほぼその趨勢がうかがわれる。すなわち従来の疫学分科会と比較するため前述のごとく好塩細菌および寄生虫を除いて考えて見よう。
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