原著
放射性同位元素投与患者屍体の処理について
砂田 毅
1
,
木下 正弘
1
,
木下 商策
1
,
服部 恵子
1
1大阪府立放射線中央研究所衛生工学課
pp.705-706
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202352
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I.はじめに
人類が原子力を開放して以来,医学方面においてもその恩恵を受ける機会が多くなつてきた。殊に多種多様の人工放射性同位元素が入手できるようになつてからは,これらの生体におよぼす効果を利用して,種々の疾患の診断および治療に広く用いられるようになつた。放射性同位元素(以下RIと記す)を生体内に治療の目的で投与するのは一般に悪性腫瘍患者であることが多く,またこれ等の患者の致命率は概して高い。従つて治療途上でRIが体内に残存したままで死亡する可能性は否定できない。死亡すれば代謝は停止し,残存RIの減少は物理的崩壊にのみ依存する。投与されるRIは物理的半減期の短いものが用いられているが,かなり大量のRIを投与された患者が突然あるいは比較的早期に死亡した場合は体内残存RI量は無視できない。次に医療上しばしば用いられるRIの種類と用量を概観してみよう。
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