特集 社会医学
兵庫県氷上郡における新しい保健医療計画(その1)
五木田 和次郎
1
1大阪大学医学部公衆衛生
pp.588-593
発行日 1960年11月15日
Published Date 1960/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202333
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療保障は,すべての国民に平等かつ完全に医療を保障し,その健康の維持と活動力の回復を図るものである。具体的にいえば,単に疾病治療のみでなく,疾病予防にはじまり,治療,さらに社会復帰に至るまでの全範囲を綜合的にとりいれることにより,健康そのものを守ろうとするものであるとして,健康保障という新しい名で呼ばれようとしている。ところが,現在の医療保障を代表するものともいうべき医療保険は,所得保障的色彩が濃厚であり,また保険給付,医療組織その他の実状から,健康保障の理想にはおよそ程遠い。
この理想と現実のギャップを解消し,いかにして健康保障を実現するかについての私案をまとめたものが,次に掲げる健康保障の案内図である(第1図)。これと医療保険の現状(第2図)を重ね合せた場合,そこにおのずから,現行制度の問題点が浮かび上つてくると考える。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.