特集 社会医学
社会保険医療の分析
東田 敏夫
1
,
仲野 俊子
1
,
上林 典子
1
1関西医科大学衛生学部
pp.583-587
発行日 1960年11月15日
Published Date 1960/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202331
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I.はじめに
健康保険は,加入者が必要とする医療を均しく給付することによつて,医療の社会化をはかるものとみなされている。また累進税的保険料と療養給付における機会均等を前提として,加入者間における「所得再配分」の効果が予測されている。
現行健康保険が果してそれらの期待にこたえているだろうか。たとえば,1人当り給付件数や給付点数は,政府管掌健保では組合健保よりも少ないことや,健康保険組合あるいは国民健康保険において,標準報酬等級が低い階層や保険料負担が少ない加入者に対する給付率が低いことを指摘されている。加入者に対して機会均等であるべき療養給付が階層によつて格差があることはたしかに問題である。
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