原著
東京都江戸川区における被保護世帯員の結核検診ならびに患者管理の実態について(第1報)
佐藤 智
1
,
木野 智慧光
2
,
浅羽 陽
3
,
秋葉 美恵子
4
1東京大学医学部田坂内科
2結核予防会結核研究所
3結核予防会渋谷診療所
4江戸川区社会福祉協議会
pp.398-400
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202296
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I.緒言
私共は昭和33年3月以来,東京都江戸川区における生活保護世帯員約4,700名(33年3月現在併給,単給を含む)の健康管理を行つている。
一応管理を始めた昭和33年度の断面調査成績がまとまつたので,今回はこの成績を中心に報告したい。このような事業を始めた動機は,たまたま同区の福祉事務所の嘱託医をしている報告者らの1人(佐藤)が恵まれない生活保護層の現状を少くも医学の面で多少とも改善したいと考えたことにある。勿論この層に転落するに至つた要因は複雑で,単なる医学の面のみから解決されるものではないことは私共も十分承知しているが,何と云つてもこの層に転落する最大の原因は疾病と関連をもつていることであるから,私共は医師という立場から,少しずつでもこの問題を改善しようとして,この健康管理を一応5ヵ年計画で始めたのである。健康管理といえばすべての疾患に対するものが含まれる訳であるが,最も大きな比重を占める,そして既に管理方式の確立されている結核から始めることにした。この事業は江戸川区の福祉事務所,江戸川,小岩保健所,社会福祉協議会,区役所が主催となり,江戸川区医師会,結核予防会が後援している。
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