綜説
世界に於ける佝僂病の歴史的観察(第Ⅱ編)—日本特に東北地方の佝僂病について
小原 幸作
1
1東北大学医学部小児科教室
pp.359-371
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202289
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I.緒論
日本に於ける佝僂病(以下「佝」と略す)の歴史は欧米のそれに比すれば遙に日が浅く,明治初年西洋医学が輸入せられた当時には本邦には佝は存在しないものと内外の学者により唱えられ,一般にも斯く信じられていた。1)〜4)
1888年(明治21年)に至り初めて落合氏5)が仙台に於て本症の1例を実験して臨床上の見地より佝の存在を立証し,1893年(明治26年)瀬川氏6)は仙台及び千葉に於て本症の各1例を,又同年三宅氏7)8)の府中に於ける1例及び佝性内飜脚の1例,翌1894年(明治27年)には神村氏9),1895年(明治28年)野田氏10)の各1例,1898年(明治31年)高松氏11),1901年(明治34年)木村氏12),平出氏13)14)等の報告が続出した。
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