研究報告
血清アルカリ性フォスファターゼ値より見た北海道の佝僂病について
北見 征男
1
1三菱美唄病院
pp.99-102
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201346
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1.緒言
血清アルカリ性フオスフアターゼ値が佝瘻病に於て高い価を示すことは,Bodansky(1),Morris(2),等により早くより注意されて居つたが,測定法が複雑であつた為一般に行なわれず,又特異性を欠いている事などもあつて診断手技としては価値少しとされて来た。然るに測定法が種々改良されて,少量の血清により簡単に測定する方法が行われるようになつて,(3)(4)(5)再び血清アルカリ性フオスフアターゼ値(以下Al.Ph.V.と略す)の測定が佝僂病の有力な補助診断法として用いられるようになつて来た。(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)(13)
満2才以下の健康な乳幼児は性の差なく5〜15ボダンスキー単位(以下B.U.と略す)であると云われて居り,(10)(13)(14)活動性佝僂病,嚢胞性繊維骨炎,畸形骨炎,その他の骨疾患,肝疾患によりAl.Ph.V.の異常な上昇がある。(11)(13)(14)乳幼児に於てAl.Ph.V.を測定し,異常に高い価を示した場合最も多いのは佝僂病であろう。Bicknell(9)の云うように,Al.Ph.V.上昇のみを以て佝僂病と診断するのは早計であると考えられるが,乳幼児に於てAl.Ph.V.上昇ある場合,全身骨疾患,肝疾患を考えるよりも先ず佝僂病を考慮せねばならない。
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