医学生に対する衛生学公衆衛生学の教育・13
学校保健
村江 通之
1
1鳥取大学医学部衛生学教室
pp.273-278
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202276
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学校保健とか,学校衛生とか,健康教育とか,或いは保健体育とか体育保健とかいう一連の言葉群は厳密にいえば,恐らくそれぞれの個有の意味をもつておることであろうと思うが,これらを明確に区別して説明出来る人は,現在の日本にはないと考える。また若し,これらの間に明らかな劃線を引くことを要求する人があるとしたら,この人はこれらの言葉を実際には理解しておらない人ではなかろうか!
今日まで日本においては,これらの一連の言葉群がもつ大切な意義に関する研究は,ほとんど手をつけられないで,取りのこされておるといつても間違いではない。これは明治の初め現在の如き学制の基本が制定されて以来,先般の敗戦の日まで,この分野を担当して来た人達のあいまいな態度や,その指導監督にあたられた当局の,この仕事の発展への親切で真面目な指導の不足が,原因しておるのではなかろうかとおもう。この指導能力の不足は当局の不勉強の賜と,それからくる後継者の養成のコースの確立が,なかつたことであると考えさせられるのである。
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