特集 學校保健衛生(2)
学校保健と保健所
高塚 太吉
1
1市川保健所
pp.19-20
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201666
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先日台湾政府の巫さんという方が見えられて,いろいろ学校保健のことについてお話合いをしたが,その時の会話の中で一つだけ非常にうらやましいと思つた事があつた。それは中央の政府から末端迄,教育庁関係と衞生処関係官庁の間に同一人の医師たる技官が兼務して保健教育の責任者となり,すべての計画に関与しているという話であつた。そして巫先生の肩書きも教育庁督学兼衞生処視察といつたような状態である。処で日本の現状はどうであろうか。厚生省,県衞生部,保健所の流れと,文部省,県教育庁,市町村教育委員会の流れとの間に横の連絡が殆んどなく,市町村の教育委員会は保健所を利用することを知らず,保健所は学校の保健教育のカリキユラムに全然タツチしないので少しもその実体を把握していない。しかも目的は一つの保健衞生の知識の向上にあるのだから全くやりきれないと思う。私は試みにある有名な出版社から出ている学校保健の指導資料をひもといてみた。「結核をなくするいめにはどうすればよいか」という単元の説明,15頁の間をくまなく眺めまわしてみたが,学習生活の中の結核菌の殺菌の項と感染経路の項に,僅かに保健所等と出ているだけで,結核予防の重大な使命,殊に社会の結核対策についての項等には一言半句も保健所に触れていない。要するにその書籍の筆者グループは保健所を単に細菌検査所位にしか理解していないのではないかと疑いたくなる。併しその責任の一端は保健所側にもあると思う。
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