綜説
市民の保健に及ぼす大気汚染の影響について
野瀬 善勝
1,2,3
1山口県立医科大学公衆衛生学
2山口県立医科大学産業医学研究所
3山口県宇部保健所
pp.129-136
発行日 1960年3月15日
Published Date 1960/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202251
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I.緒言
最近8ヵ年間(1950〜1957)に於ける宇部全市の平均降下煤塵量は48トン/km2/月であつて,我国では最大量である。又成分的に見れば,不溶解性物質が断然多く(59%),その大半が灰分(80%),であることが主な特性である。他面,地域差が甚しいことも亦特性の一つである。
その主な原因は a)市内主要事業場で灰分が多く(40%),発熱量が3,000〜5,000Calに過ぎない品質の悪い石炭が毎月7〜8万トン微粉炭燃焼法で発電に利用されていること。b)工場の位置が年間の主な風向に対して適当でないこと。c)発電所の集塵装置(コットレル,サイクロン)が完備していないものが少なくないことに起因している。
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