特集 問われる病院と地域の保健活動
保健活動の現状と問題点
西本 至
1
1厚生省健康政策局計画課
pp.1118-1121
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901667
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
我が国の保健活動は大正末期から昭和初期にかけて結核や児童の対策を中心に展開されてきた.1919年には大阪市に児童相談所が,また1932年には公立の結核予防相談所の第1号である健康相談所が東京市に設置された.これらは軍事体制の下でやがて保健所法の制定(1937年)や厚生省の設置(1938年),そしてさらに保健婦規則の制定(1941年)へと続いてゆく.
今からちょうど半世紀前の1945年,日本は敗戦による窮乏と劣悪な衛生状態の中で連合軍司令部GHQの強力な指導の下に衛生行政の新しい夜明けを迎えようとしていた.1947年に保健所が全面的に改正されたのを皮切りに,以後の公衆衛生活動の基盤となる法律が順次改廃整備されていった.昭和20年代中〜後半の特筆すべき保健活動として大きな盛り上がりをみせた「蚊とハエをなくす運動」や「地区組織活動」を忘れることはできない.これらの運動を通じて地域住民が保健活動の意義を実感し,主体的に運動に参加した,という点で,昨年成立した地域保健法が強く訴える「生活者の視点」の萌芽を見てとることができる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.