事業所における健康管理の現状と問題点

　産業における保健活動を歴史的にみると，4つの流れがあるように思われる。1つは地域社会に医療機関の少なかった時代から現在まで続いている診療活動である。診療に関するニードは現在でも強いが，医療機関の普及した都市では，その業務は救急処置のほかは，必要な患者を専門医へ送るためのスクリーニング外来としての機能を主とすべきであるという意見が有力になりつつある。

　つぎは業務に起因する健康障害を防止することを目的とした，作業環境や労働条件の改善や健康診断などの仕事であり，これは大正の初め工場法の施行以来行なわれてきたが，戦後労働基準法により飛躍的に発展した。このような法規にもとずいて行なわれる業務を，一般に衛生管理といっているようである。これらの仕事は主として衛生管理者によって行なわれている。