特集 保健所管理
保健所管理についてのセミナー
5.結核予防業務(その1)—集団検診を中心として
若松 栄一
1
,
今井 清
1
,
田中 正一郎
1
,
小川 良治
1
,
清水 寛
2
,
重松 逸造
3
,
橋本 正己
4
,
吉田 寿三郎
4
1厚生省公衆衛生局結核予防課
2東京都王子保健所
3公衆衛生院疫学部
4公衆衛生院衛生行政学部
pp.42-50
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202075
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〔事例発表〕
1.舞鶴市の結核予防事業に対する保健所の役割
京都府舞鶴保健所長 八十島 幸三
舞鶴市は人口11万の裏日本の元軍港都市で現在海軍自衛隊教育隊の所在地で財政は赤字団体に指定せられている。厚生課の中に公衆衛生係があり技術者は看護婦4名であつて,市の行なう伝染病予防注射及び結核住民検診におけるツ反応及びBCG予防注射も彼等の業務になつている。これら注射に対する医師雇上費は注射1人に対し1円の費用が計上されているに過ぎず,これによつて開業医の協力を得る事が出来ないし,又開業医も民衆が集り易い時間と自分達の診療時間との関係を口実に協力しようとしない。学校における結核検診においても一部の校医はツ反応及びBCG注射等を嫌がり保健所に押しつけようと学校当局に迫る状況である。これらの集団注射業務は無味乾燥なる単純労務的であつて心身の緊張を要し疲労の多いものであるからだと思える。これらを保健所で引受けないと間接直接撮影とも病院に依頼する。結果が保健所收入が大幅に減少する事になり本庁の容認する処とならない。保健所の1乃至2人の医師及び保健婦では全部を引受ける事が出来ない。一部は病院に依頼する事となるが病院は近くの学校だけしか引受けないから勢い遠方で辺ぴな処許り保健所がやらなければならず,昭和31年度の住民検診率7%から3倍の22%に,32年度は向上さしたが医師,保健婦の労務が3倍になり,医師保健婦が過労で病気欠勤をする様になる。
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