原著
宮入貝(日本住血吸虫中間宿主)の生物学的研究—IV.自然界に於ける宮入貝の生態観察
菊池 滋
1
1横浜医科大学寄生虫病学室
pp.599-603
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202045
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緒言
日本住血吸虫の中間宿主である宮入貝の棲息地域は一定の範囲に限局されているがこれは宮入貝の生活環境に対し種々複雑な要因があり,簡単に判断するわけにはゆかないがとりわけ地質,地形地相,土壌,水路,気象との関係が大いに影響しているものであることはさきに指摘しておいたがこの外の要因として貝の習性が大きく関係をなしている。
従来自然界に於ける貝の生態観察に就ての詳細な記載は極めて少ないので著者は山梨県に於て長年貝の生態について観察して来たがその成績の一部即ち棲息場所,温度,棲息状況,環境の変化等についてはさきに報告したが今回更にひきつづき棲息地の植物及び動物相,冬眠の状況,産卵,貝の発育等につき報告したい。
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