特集 国民健康保険と公衆衞生
巻頭言
国民健康保険と公衆衛生特集について
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.457
発行日 1958年9月15日
Published Date 1958/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202007
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わが国の公衆衛生は,現在二つの意味で大きな転換期に直面していると考えられる。すなわち,第一は戦後GHQの強力な指導援助の下に主として他律的に行われた公衆衛生諸制度の一大改革について,それから10年を経た今日,現在までの歩みの反省と評価を基礎として新しい出発を迫られていることであり,第二は医療保障を中核とする社会保障制度への第一歩として,国民皆保険へのスタートが切られ,公衆衛生活動は社会保障制度の進展に即応しつつ,その中における自らのあり方を確立してゆかねばならぬ段階に入つて来たことである。
このような背景の下において,昨年の7月以来公衆衛生院では曾田次長を中心に衛生行政学部が世話役となつて,毎月二種類の研究会を開催して今日に至つている。すなわち第一は衛生行政研究会であり,第二は保健所運営管理研究会である。このうち前者は厚生省関係各課,東京都及び近県の衛生部,保健所並びに大学の公衆衛生関係者,公衆衛生院関係者等,毎回30〜40名のグループで衛生行政の当面する基本問題について調査資料,事例等の発表を中心に問題点を整理し,基本的な考え方を討議するものであり,現在までに「保健所運営について」「公衆衛生活動における病院の役割」「衛生行政と地方自治」「地区衛生組織活動」(3回)「公衆衛生とは何か」「国民健康保険と公衆衛生」「地方財政と衛生行政」等につき9回の研究会を持つている。
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