特集 ジフテリア予防接種
百日咳・ジフテリアの混合ワクチンについて—予防効果と副作用
村田 良介
1
1国立予防衛生研究所血清部
pp.298-306
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201970
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
最近化学療法が進歩して伝染病が減つてきたが,予防接種を必要とするものもまだ少なくない。現在の法律できめられているものだけでも生後12カ月の間に7回の予防接種を受けることになつている。しかもいろいろな病気に対して有効な予防剤がつぎつぎと研究されているので注射回数は増加する傾向にある。有効なものでも接種回数が多くなると大衆から受け入れられ難くなることは予想に難くない。
Ramon1)2)はこの点に着目してすでに1926年頃に混合ワクチンを用いることを提唱した。フランスでは彼の研究にもとついて軍隊用としてジフテリア,チフス,パラチフス(A. B)の混合ワクチンを採用し,ついで1940年頃には幼児に対してジフテリア・破傷風の混合免疫を強制した。百日咳ジフテリア混合ワクチンはBordet(1936年),Ledingham(1939年)などによりとりあげられたが,最近10年間にアメリカ,イギリス,カナダなどで動物および人体について広汎な研究が行われ,混合免疫法が普及し予防接種の実施が容易になつた3)〜7)。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.