特集 ジフテリア予防接種
Gravis型ジフテリアの疫学
藤本 伊三郎
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.289-297
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201969
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I.緒言
1.その意義
近年本邦各地のジフテリア流行で注目すべきは,gravis菌が主として見出される流行の多いことである。Andersonら1)によつて1931年ジフテリア菌はgravis, mitis及びintermediusに分類され,その後,数多くの流行例において,流行菌型と流行像との関係が調べられてきた。その結果,gravis型流行--35%以上の頻度でgravis菌が分離される2)--に際しては,罹病率の増大・悪性ジフテリア*1患者の多発・好発年令の上昇がみられている。さらに,予防接種の効果は,他の菌型による流行の場合ほど充分ではないという報告2)〜6)がみられる。これらのことから,gravis型流行の問題が,ジフテリアの疫学,ことに予防対策を基礎づけるための疫学において重要な位置を占めている。
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