原著
乳幼兒アメーバ赤痢の流行例と二三の実験観察
岩井 澄雄
1
,
帖佐 博
1
,
辻 昭二
1
,
福原 文明
1
,
赤松 高之
2
,
古本 浩
2
1慶応義塾大学医学部寄生虫学教室
2慶応義塾大学医学部小児科学教室
pp.45-51
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201899
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アメーバ赤痢の病原体である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の分布は広く全世界に及んでおり,我国に於ては戦前は一般健康人に5%内外の感染率であつたが,戦後は海外からの帰還者が多数に感染していたためと,一般の生活状況の悪化のために現在は10%内外とされている(松林,昭和30年)。又病原性の点からも国外株は国内株に比して強いと云われる(Okamoto,1953)。
一般にアメーバ赤痢は成人に比して小児では少い様であり,Musserはアメーバ症は大人の病気であると云つており,Craig(1944)は感染率について小児は大人より一般に少いが,之は感染の機会が少いからで,育児院,孤児院の様な感染の機会の多い所では高率であるが,アメーバ赤痢は少くとも温帯では小児では非常に稀であると云つている。
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