特集 健康教育と公衆衞生教育
総説
教育とコトバ
国分 一太郎
pp.9-16
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201746
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I.はしがき
戦後11年をへた今,わが国の初等・中等教育界では教科課程の再編成が問題となりつつある。そのなかで,国語科の時間数を増加しなければならないという声が,現場や民間教育研究団体の間にあがつている。これは戦後になつて,ほぼ4割5分も減らされたような国語の教授時間数では,国語そのものの力がつかないばかりか,他教科の学習,教科外活動の成功的な実施にも,さしつかえが生じているという事実に立つているのである。
ところが,これに対して,一方では,それは教科セクト主義である,と批判し,「国語科でその時間数をふやせ」と要求するならば,同じ要求は他教科からも出るだろう,と言うものがいる。そして現に他の教科の専門研究団体等では文部省に対して,いちはやくその教科の時間数をふやせと陳情しているものもある始末だ。しかし,このことぐらい認識不足なことは,そうザラにはあるまいと,わたしには思われる。
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