特集 最近の医学の話題
労働衞生
勝木 新次
1
1労働科学研究所
pp.42-43
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201720
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昨年九月珪肺及び外傷性脊隨障害に関する特別保護法が制定施行され,その後本年3月までに同法にもとずく珪肺検診が全国にわたつて凡そ7万人を対象として実施せられた。労働衛生関係の最近の話題といえば,先ずこのことを第1に挙げなければならぬであろう。そして粉塵衛生及び塵肺の問題が,現在労働衛生関係者の最大の関心事であることは,本年4月に開催された産業医学会における演説や討議の上でも明瞭に看取される。即ち学会の演題229題のうち,その凡そ25%に当る43題が塵肺及び粉塵衛生関係のもので,空気汚染関係のものや粉塵関係のシムポジウムにおける報告をも加えると更にその数は多くなる。
ところで戦後わが国では,塵肺(Pneumoceriosis)という言葉があまり用いられず,専ら珪肺(Silicosis)という言葉のみが多く用いられ,昨年制定実施された法律も珪肺を対象としている。
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