読者からの手紙
学校か?保健所か?
長谷川 明子
1
1都立保健婦助産婦学院
pp.10-11
発行日 1966年3月10日
Published Date 1966/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203595
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また,寒い冬がやってこようとしています.公衆衛生看護を勉強しはじめて8カ月,社会人として,巣立つ日も間近くなりました.卒業後はどこへ就職しようか,とずいぶん迷いました.そして悩んでいます.学院へ入学したころは,保健所の保健婦として働くつもりでおりましたけれど,新らしい環境にはいって,実習したり,勉強したりしているうちに,あれもしたい,これもしたいとたいへん欲ばりになってしまいました.養護教諭になって,だい好きな子どもたちに囲まれて,生活指導をしたり,子どもをとおして,父母たちとも健康上の問題について話しあえたら,なんとすばらしいでしょう.外国では,学校に一人ずつ養護教諭がいるのではなく,保健婦が受持地区の学校の管理もしており,それでじゅうぶんというところもあるそうですけれど,日本では,まだまだ養護教諭の存在は必要です.学校における保健教育の意義は大きいと思います.
でも,保健所での保健婦事業は,いやだというわけではないのです.看護学生として,1週間保健所で実習をした時に,あまりにも,今までその働きを知らなすぎた自分自身を恥じると同時に,地区の人びとの中には,私と同じように,保健所がどんな役割りをとつているのか,気づいていない人が多いのではないだろうか,そんな人に,もっと保健所を意識してもらいたい,そして私自身も彼らといつしょに考えたいと思つて,学院へ入学してきた私なのですから…….
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