特集 医療制度とその盲点(Ⅱ)
迷信・新興宗教と醫療
若月 俊一
1
1佐久病院
pp.47-56
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201551
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この頃の文部省の調査によると,「病気の時医者にかかつたり,藥をのんだりしないで,神さまや仏さまにお祈りし,または,まじないなどをしますか。」という問に対して,全国の学生の百人中十七人までが,もつぱら神仏や,まじないに,たよつているという答が出た。また「病気になつたとき,医者にかからないで,民間療法にたよりますか。」という問に対しては,約50%がイエスと答えた。
迷信的な治療は,まだ多くはびこつている。ことに,私どものいる農村山間部においては,まだまだ多くのおまじないやお祈りや民間療法的なものが,そしてまた,最近は新興宗教が,病気の治療に使われている。なぜこのような非科学的なものが,今もなお,私たちの前にのさばつているのだろうか。それは,今もなお,無知と因習と古代的な精神が--そして,なりよりも,それらの原因である経済的貧困が国民の生活の中に,横たわつているからであろう。然し,一方また,私たちの,「科学的」と称する医学のありかたに,なにか根本的なけつかんがあるからではなかろうか。
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