特集 傳染病問題の焦点
カンデイダ,カンデイダ症(モリニヤ症)及び可視粘膜カンデイダ症の治療—内科的疾患の治療に関する私共の基礎実驗
細谷 省吾
1
1東大 傳染病研究所
pp.32-39
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201320
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微生物を原因とする種々の疾病に対して抗生物質療法が日常行われ治療医学は躍進したが,その反面,既成の抗生物質に感受性をもたない微生物特にカンデイダ(モリニア)の如き真菌類に屬するものは所謂交代菌現象の結果として,従来より却つて病原性を発揮する機会が大となつたのみならず,未だ適切な治療法が見出されていないために呼吸系,消化系の重症疾患,深部諸臓器の感染菌血症,敗血症,が内外諸学者から相続いで記載されるに及び,カンデイダ症は世界の臨床医家の研究対象となるに至つた。我国においても昨年来臨床各科の権威者による綜説的論文が輩出し本症の原因,感染の機序,従来の治療法,文献等に就て詳細に説明紹介されたが1〜19有効な療法はないと云う事に一致している。
今回本誌の編集部から私にも執筆を求められたがこの方面の研究経験は日なお浅いのみならず,与えられた紙数も尠ないので,諸家の記載との重複を避けるためにカンデイダの菌学的地位と自家小実験の範囲に止め自己流の治療研究への基礎実験を略述することにした。
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