研究報告
乳兒期のX線検診による先天性股関節脱臼の早期発見について
舘野 眞
1
1名古屋大学医学部公衆衞生学教室
pp.99-103
発行日 1953年12月15日
Published Date 1953/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201312
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1.緒言
先天性股関節脱臼(以下先天股脱と略称)は,その早期発見及び早期治療の重要な事が既に古くから強調されている。それは乳児期に出来る限り早く治療を開始すれば,主として母親の簡単な処置により完全治療を来すことが多いからである。然るに実際にはその発見が遅れ,治療開始の時期も殆ど幼児期になり,処置が困難になるのみならず,不完全治癒ときに治療不能となり,肢体不自由者となる事も少くない現状である。
二次的な予防措置の可能な本疾患の社会医学的対策としては,昭和18年神中及び伊藤等①が提唱した股関節開排制限,大腿内側部皮膚溝の非対称,その他の臨床所見によつて先天股脱の疑いのある乳幼児を選び,間接撮影によつて診断を決定する早期発見方法がある。本法は提案者の言う如く実際的方法の1つとして非常に有意義な手段と考へられる。然しその後実際に本法を利用して一般乳児の先天股脱検診を行つた報告,或は股関飾開排制限,大腿内側皮膚講の非対称等の症状により,先天股脱容疑者を予選する方法の信頼度をX線検査によつて検討した報告に接しない。
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