研究報告
某工場製品検査レ線室のレ線散乱状態の調査とその対策の一例
佐々木 雄次郞
1
1新潟大学医学部放射線医学教室
pp.42-44
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201255
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まえがき
レ線等の放射線或は広く放射性物質の使用は次第に範囲をひろめ,特に欧米では工業上にも広く使用され,之に伴う放射線障害の危険を増しつつある。その対策,従業員の健康管理も亦医学に課せられた問題となつて来た。放射線の許容量,防禦方法の基準は,第6回国際放射線会議(1950,ロンドン)で国際勧告案が作成され,我国でも内務省令や日本医学放射線学会の勧告案がある。種々の場合の身体に受ける放射線の安全量や防禦方法が定まっているといえよう。職業的に全身に,僅少量でも連続長期に放射線に露出される場合,その影響は先ず血液像に現れる。造血臓器が放射線感受性が高いからである。如何なる限度の変化が注意を要するかも後述の如く基準が定められている。従業員の身体にうける放射線量を知る為には,一般にフイルムバツチ又は蓄電器型電離槽を携行せしめて,実際受けた,作業中のレ線量等を知る事が出来る。之の成績に基き作業時間や方法を改善,安全を計らねばならない。勿論用うる放射線の性質,使用方法で夫々その危険度に差があり,之等を考慮,使用現場の状況を調査し,適当なる対策を講ずべきであろう。
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