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特集 産婦人科診療の今昔
婦人科学
レ線治療法
X-ray therapy
白木 正博
1,3
,
清水 直太郎
2
Masahiro Shiraki
1,3
,
Naotaro Shimizu
2
1元東大
2九大温研産婦人科
3九大
pp.63-68
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202120
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臨床婦人科産科誌が昭和21年7月創刊以来,第150号発行の記念に,産婦人科診療の今昔と題して特集されることは温古知新の意味で真に有意義なことなので,祝意と賛意を表してレ線治療の今昔を著者等の経験を中心にして述べることにした。レ線は発見された翌年1896年には既にベルリンにおける医学会でその医学価値が認められ,1900年パリでの医学会では診断に極めて枢要なものであるとされ,治療面でも表在性疾患に実用されると云うように,数年の間に真に急速に診療上の寵児となり,今日の輝かしいレ医学の基礎を築いた。それから60年後の今日も尚止まる処を知らないように前進が続いており,その間の変遷は全く目まぐるしいものである。わが国に於けるレ医学は著者等の知る限りでは1904年芳賀氏が欧洲から持ち帰つた装置で診療したのが始まりで,同氏は北清事変,日露戦役の際に戦地で活用している。わが国産婦人科領域に於けるレの治療では大正初期に著者(白木)が多くの基礎実験の結果に基いて,子宮の癌腫,筋腫,その他に用いて有効なことを詳報したのが始まりで,それ以後急速に広く採り上げられるようになり,今日の盛況の発端となつた。著者(清水)が入門した昭和6年には九大産婦人科で白木教授の下に極めて活溌にレ診療の研究が進行されていた。
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