特集 最近の寄生虫問題
論説
世界衞生への歩み
曾田 長宗
pp.2
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201233
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○去る5月5日からジュネーヴにおいて世界保健会議Wored Health Assemblyが開かれている。いうまでもなく世界保健機関WHOの年総会で5月23日まで約3週間続けられ,日本からは自分のほか厚生省広報連絡課長の斎田氏,薬務局の川嶋企業課長,公衆衞生局の小谷保健所課長が出かけて来ている。これに当地ジュネーヴの佐藤総領事及び星領事にも加わつて頂いて日本代表部を形成しているわけである。
○初日から総会議長の選出や各種委員会の構成について議論百出であつたが,結局シリアの衞生大臣カーター博士が総会議長に選ばれて,64参加国の代表がこれから幾多の重要問題を討議することとなつた。すでに第2日目から本年度技術討議の題目として取り上げられた結核,梅毒,腸チフス及びパラチフスについて各国の経験が語られ,意見の交換が行われているが,世界各国の特殊事情に応じた公衆衞生活動の展開は,人種や宗教や政治的見解の相違をこえた,人類共通の敵に対する進軍のさまを見るようで,その戦線の一端に加わるものの張り合いと責任の重さをしみじみ感じさせられる。
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