研究報告
一地區に於ける生活保護世帶の受胎調節に対する態度
寺村 倫子
1
,
松本 富貴子
2
1公衆衞生院人口学部
2滋賀県長浜保健所
pp.38-41
発行日 1953年5月15日
Published Date 1953/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201209
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緒言
優生保護法が改正され新しく受胎調節の普及に関する条項が加えられるに至つた今日,政府は固より国民一般の受胎調節に対する関心は非常に大なるものである。然るに調節の実行程度に関しては今迄種々な調査があるが平均的にみて,都市25%,郡部20%,農村5〜15%と云われている。又受胎調節の実行は,諸外国に於ても同様である如く,日本に於ても兎角知識階級層に多く,その実行の最も望ましい階級に於ては極く僅かにしか普及していない。また子女の教育すら満足に出来かねる,否生活そのものに追われ勝ちな家庭では殆んど受胎調節は構じられていない様である。
受胎調節の普及は母体の保護と,国民の質的向上の二つを主目的とするのであるが,たまたま後者を考える時逆陶汰の問題が考慮される。逆陶汰を防ぐ為には受胎調節指導の方針,方向にも充分な考慮が払われなければならないと考える。
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